キャラクターコンテストで選ばれるための3つのポイント

栃木県真岡市の公式イメージキャラクターに選ばれた『コットベリー』ちゃん
-栃木県真岡市の公式イメージキャラクターに選ばれた『コットベリー』ちゃん-

1ーコンテストを選ぶポイント!

私がコンテストに注目したきっかけは、リーマンショックの後の閑さゆえでした。

時間をもてあましていた私は「何かすることはないかいな?」と毎日考えていたわけです。で、思いついたのが「イメージキャラクター・コンテスト」だったのです。その頃「ひこにゃん」がブレイクしていたこともあり、「採用されれば気分も上がるわ~」とトライ開始!

公募サイトをチェックしまくって、とりあえずどの募集案件に応募するか考えまくったわけです。その頃はゆるきゃらブームもあってか、地方自治体からのコンテスト公募はたくさんあったんですよね。

まずは募集している地方のイメージをつかむため、「これは」と思った案件のホームページをチェックします。だいたいトップページを見れば、何が特産で何を打ち出したいのかわかるものです。

で、その特産品なり特徴を自分なりにイメージできるか?相手の希望しているであろうキャラクターが、自分の描きたいテイストにある程度合っているのか?それでだいたい判断します。

真岡市のキャラクターコンテストを選んだのは、知っている場所なのでイメージがしやすかったこと、そしてなんと言っても「いちご」が有名なので、かわいくなりそうだってわかっていたことです。真岡市は宇都宮市から車で40分くらいのお隣の市。イチゴとコットンが特産の市で真岡鐵道には週一くらいでSLが走ります。私も益子に行った帰りに立ち寄ったり、カフェに行ったりする身近な市なのです。

とはいえ、そんな近い町の案件があるのは特殊な例。やはり「このキャラクター作ってみたい」と思えることが選ぶ一番のポイント!それって、具体的なイメージができているからこそのモチベーションですから、そのやる気を活かして制作にとりかかりましょう。

2ーコラボさせるアイテム2つを選ぶポイント

キャラクターを作る上でまず考えなくてはいけないことは、何と何をコラボさせてオリジナリティーを出すか!ということです。コンセプトを決めるということですね。

少なくとも2つは当然で、3つ以上コラボさせてオリジナリティーをだすっていう手もあります。でも、詰め込みすぎるとイメージが散漫になっちゃうこともあるので、そこは注意が必要。まずは2つを選びましょう。

とりあえず、わかりやすく一目でそこのイメージが伝わる物をチェック。ホームページのトップで打ち出されている特産品や特徴の中で、アイキャッチとして使えそうなものをピックアップしておきましょう。

次に、ホームページを読み進めていく中で繰り返し出てくるワードとか物を探します。地元の人達が誇りに思っていることや物が見つかったりします。

で、ピックアップしたアイテムを円状に書いたら、線でそれぞれを結んでイメージを思い浮かべます。コットベリーだったら「コットン」と「いちご」を思い浮かべたときに、「かわいくなりそう!」ってピン!ときたわけですよ。

これは王道のやり方で、ナンバー1とナンバー2のコラボです。頭をイチゴにするかコットンにするか迷いましたが、コットンを胴体に持ってきたらもふもふしてオデブになってしまったので、頭部分をコットンに決定しました!

目をどんな風にするか?いろいろなパターンを作ってみました。で、よくある“ゆるキャラのボタン目”ではなく、インパクトを考えてお人形的でキュートな目にしました。これは他の人との差別化を図るためで、受け入れられるかどうかちょっとした賭けでしたね。最後の審査は真岡市民の人気投票だったので、選んでくれた皆さまに感謝です。

実はこのコンテストに2案応募したのですが、あと1つのキャラクターは「SL」と「コットン」をコラボしたものでした。まあ、真岡市といえば『いちご』は絶対だろうなとは思っていたのですが、コットンのもくもくした感じとSLの煙のイメージを合わせたものを作ってみたかったのです。後で紹介しますね。

3つ以上のアイテムをうまくコラボしたキャラクターで有名なものに、同県の『さのまる』がいます。佐野ラーメンのどんぶりをかぶり、いもフライを腰に差し、犬でそして侍・・・これだけの材料をかわいく料理できると、ゆるキャラグランプリで日本一になれちゃうんですね〜。

3-名前をつけるときのポイント

キャラクターを生かすも殺すも名前次第!ぐらいの感じで考えましょう。その名前を聞くとキャラクターの姿がポン!とイメージできるとか、その町が思い浮かぶとか。

どちらかというと「あからさまだよね〜」的な感じの、呼びやすくてイメージが伝わる名前がベストですね。

コットベリーの場合は『コットン』と『ベリー』をくっつけちゃったわけですが、「コットンベリー」にするかどうか、最後まで迷いました。結局、何回も口にしてみて、語呂が良い方を選んだわけです。

【コットベリーの応募用紙の作品の説明を紹介しますね。】

真岡市イメージキャラクター応募:コットベリー

『コットベリー』

真岡市の特産品である「木綿」と「イチゴ」をMIXしたキャラクターです。

  “コットン”と“ストロベリー”をかけ合わせたわかりやすくかわいいイメージのネーミング!

ポップでインパクトが強い(白を基調に赤・黄・緑が立体にした時にも映えるはず!)

 誰からも好かれるキャラクターを目指しました。

私的には「コットベリー」で間違い無かったという気分なのですが、たまに「真岡のコットンベリーちゃんね」とか言われるとウ〜ム・・・と思っちゃう私なのでした。

3つのポイントを押さえてキャラクターをつくってみよう

結論から言うと、すっごいかわいいキャラクターにナイスな名前をつけたからといって、絶対選ばれるかというと絶対は絶対ない!最後は『運』!選考の仕方とか選ぶ人の好みとか土地柄とか、読めない部分が多すぎて考えてもしかたがないのですよね。

なので自分が良いと思えるキャラクターを制作して名前を付けたら、とりあえず満足しましょう。「良くやった、私!」と褒めちゃって、応募したら手放す!そしてもう、忘れちゃおう。

そして、つぎの案件を探してトライする。そんな軽い感じでいきましょう。そのうち、運がめぐってくることもあるかもしれないし〜ないかもしれない〜。でも可能性は0じゃないもんね!

最終選考まで残った『もっトン』

こちらが最終審査まで残った、あと1案の「もっトン」です。このコはSLとコットンのコラボキャラクター。「もっトン」の作品説明も紹介しますね。

真岡市最終選考まで残ったゆるキャラ『もっトン』
-最終選考まで残った『もっトン』-

「蒸気機関車が走るまち」真岡市のSLと、特産品である「木綿」のコラボキャラクターです。 もおかの“も”とコットンの“っトン”からのネーミングで覚えやすく呼びやすい、カワイイ語感を目指しました。“もっトン”の意味あいとしましては、真岡市がもっと元気に、もっと楽しく!もっと、もっと・・といったポジティブで発展的なイメージです。

こちらの「もっトン」くんは、残念ながら人気投票で落選しちゃったみたいですが,関係者の方から、これも最後まで残ったよ!って言われて嬉しかったです。

SLの力強いイメージとコットンのふわもこの癒やしのイメージで、子供向けのアメコミに出てくるようなかわいくてかっこいいヒーローキャラが出来て、私的にはとっても満足でした。

でもまあ、真岡市に「いちご」はマストだと思っていたので、「もっトン」が最終まで残っただけでも御の字です。

コンクールの結果は一本の電話で

応募したことも忘れるくらいたったある日「コットベリーが公式キャラクターに選ばれました」という電話が真岡市からかかってきました。「マジですか?」やったぜー!何せ初めての応募での当選、気分あげあげです。

その後地元新聞に発表されたらしく、私の名前を知っている人達から祝福の言葉をいただいたりして。家はその新聞をとってなかったので知らなかったんですけどね・・・。その後真岡市役所で表彰式がありまして、市長さんから賞状を受け取り、地元のケーブルテレビにインタビューされるというなかなか恥ずかしい体験をしました。賞金の10万円も銀行口座に入金されて、とりあえず一段落です。

そうしているうち真岡市からまた電話が、「着ぐるみをつくるのでスケッチを描いてくださいませんか?」で、はたと気づくのです。「そうか、着ぐるみになるんだっけ・・・」で、描いたのがこちらのスケッチ。

コットベリー着ぐるみスケッチ

2次元のキャラクターの雰囲気をなるべくこわさないように、3次元化したつもりなんですけどね。

コットベリーちゃんが着ぐるみになって思ったことは

着ぐるみになったコットベリーを初めて見たのはサイトでした。「顔の雰囲気が違う〜〜〜」「コットベリーちゃん、着ぐるみに向いてないかも・・・」ちょっと、へこみました。

キャラクターを考える時に、着ぐるみになることとか全然考えなかったもんな~・・・考えてみたらコットベリーはどう考えてもゆるキャラって感じじゃないし・・・もっトンの方が着ぐるみには向いていたよね・・・とかいっぱい反省。

実際着ぐるみを制作するとなると、首の部分は○㎝以上必要とか足や手はそんなに細くはできないとか、いろいろ制約があって2次元のイメージをそのまま、というのは無理なことなのでした。頭の一番大きい部分は直径1メートルを超えたらしいです。中に入る人、大変そう・・・。

でも、私の予想に反して着ぐるみのコットベリーは思いの外評判が良く「着ぐるみの方がかわいい!」などと言われたりして、ちょっと複雑な気分になったけど、可愛がってもらう方が嬉しいもんね。

なので、キャラクターを考える時には着ぐるみになることを想定することも大切。動いたりしてるイメージを思い浮かべながらだと、よりグッド!イメージがより現実的になってきますもんね。

『コットベリー』はすっかり私の手を離れ、どんなグッズになるとか一切知らされないので、どんな動きをしているのか全然わからない。なので、最初にスーパーマーケットでコットベリーのいちごアイスを見つけたときはうれしかったな〜!!たまに、ネットで検索してどんな活動をしているのかチェックするのも楽しみ。

全国のゆるキャラ達の運動会に出場して、必死に走っているコットベリーちゃんを見ると、我が子の活躍を見守る母の気持ち?になる私なのでした。

そうそう2020年ゆるキャラグランプリにもエントリーしてるみたいです。ゆる〜くがんばってほしいですね。最近知ったのですが、真岡市のふるさと納税で『コットベリーグッズセット』っていうのがあって、ちょっと受けました〜。

『コットベリーちゃんバス』が街を走る!

しばらくたってから、真岡市から「コットベリーちゃんバス」のデザインを依頼する電話がありました。私がデザインしたバスが街を走る!と考えるとワクワクです。

真岡市は古い町並みも残る街なので、クラシックバスの上品なイメージやイチゴを全面的に押し出したキュートなデザイン、ちょっとおしゃれめなデザインと何点か提案。

真岡市コットベリーちゃんバスデザイン案

紆余曲折あって何回かの修正の末に決まったのは、スーパーイチゴ感満載のデザインのバスなのでした。

街を走っているとすっごく目を引くらしく、真岡市に住む知り合いから「コットベリーバス見たよ!」「超目立ってた!」と報告を受けること多々あり。

派手な我が子を見られちゃって恥ずかしいような、嬉しいような、照れくさいような・・・

真岡市コットベリー号

トライしてみてね!

通常の仕事にはない、楽しさや照れくささを味わうことができた「地方自治体のイメージキャラクター公募に応募したら採用された!」という、ちょっと特別な体験は私のイラストレーター人生を楽しく彩ってくれたのでした。

応募するのは無料だし、選ばれれば特別な面白い体験ができるので“3つのポイント”を押さえて是非トライしてみて下さいね!

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