非現実的な楽しい世界観を描くときの私なりのポイント
「架空の住宅展示場って何?」と思われますよね。住宅展示場が架空なわけではなく、建っている家や世界観が架空ってことなのです。
住宅展示場のイラストのお仕事依頼をいただく時って、まだこれから住宅を建てる、という段階なんですよね。そのようなわけで打ち合わせの時にいただけるのは、道と駐車場の位置が指示してあって“敷地の中のこのスペースに住宅が何棟か建つ予定”みたいな、ざっくりした白地図みたいなもの。
なので、架空の世界の○○タウンを描くのと、全然違わないわけなのです。
その上、現実的な家をそのまま描くと、それぞれのメーカーの住宅との兼ね合いやいろいろあって大変!そのようなわけで、なるべく非現実的な家で楽しそうな雰囲気が伝わって「行ってみたいな〜」と思ってもらえるようなイラストが良いわけなのですね。
では、そのような「非現実的な世界観」を描くときの私なりのポイント3つを説明してゆきましょう!
1-まずは家のデフォルメ感を決めてから全体を決める
直線で構成されている家は、普通に描いてはおもしろくない絵面になってしまいがち。なので、地面からキノコがニョキニョキ生えてきているみたいな構図にすることで、動きを出しています。
なので、地面は弧を描かないと、家にパースがつけられないわけなのですが、その家のパースの付け方によって上から見ている角度が決まってきます。あまりパースをつけすぎると屋根ばかりが見えてしまうし、他の家との兼ね合いが難しくなってしまうので、奥行き感も考えてほどよいパース度合いを見つけることが重要です。
まずはメインの家を“こんな風に見せたい”という感じのパースで描きましょう。それから両隣の家を描き、その地面をなりで描いてゆき、またその両隣の家を描き・・・としてゆくと、なんとなく地面のデフォルメ感が決まっていって、そこから自然に全体のデフォルメ感が決まってゆくといった感じです。
2-家の形のバリエーションを増やすことが大切
住宅は四角の箱形が基本なので、いろいろな形の家を頭に入れておきましょう。真四角型・L字型・かまぼこ形・6角形・ドーム型など、そこからいろんなバリエーションに変形できると画面に変化がつきます。
そしてなんといっても、一番めだつのは屋根ですよね。全ての住宅ごとに屋根の形も変えるようにすれば、動きも面白みも出るんです。
家本体の形が決まったら、さらに窓の形の変化で楽しさを演出。あとは壁の材質や装飾など、細かいところにこだわればこだわるほど、厚みがでてきます。
3-植物や街灯・車とかの小物、人と風船で動きをつける
家を全部書き終わったら、次は植物です。緑は街を描く時には、重要なアイテムです。どんな形の植物をどう植えてゆくか?それで、道の流れも出てきますし家の雰囲気も変わります。
植物の種類や形、色味などのバリエーションによって、メリハリをつけることができるのです。街灯や看板、ゲート、噴水など、入れる小物によっては街の雰囲気が決まりますので、その街にあった小物のデザインを選ぶことも大切です。
最後は全体の画面を楽しくにぎやかにするため、バランスを見ながら人や鳥、風船を足してゆきます。
人を地面の上や家・屋上に、鳥や風船を空に入れることにより、寂しく空いている空間を楽しい空間にすることができるわけです。
上の「トキメキ・タウン」は、オンラインゲーム上の街ですが、こんな空想上の町並みにもピッタリな感じですよね。
こちらは、リカちゃんのウキウキ・タウンです。こちらは、建物にパースをつけていない世界観。水辺から山に向かって高くなってゆき、小高い丘が続くことで、画面に変化がついています。動きのあるアイテムがいっぱい入っているのが、おわかりになりますよね!
カラーリングは世界観に合わせて
カラーリングは、その世界観にあわせてつけるのがいいと思います。ベタだと重くなりそうなものには、余白や透明感を活かして、厚い感じにしたいときにはベタとムラ・ディテールを活かして、といろいろ楽しんで工夫しましょう!