バブルの東京でフリーイラストレーター[アナログ時代]
そう“会社員に向いていないこと”早々に気づいた私は偉かったな〜!
忙しくて順調だと思っていたら、バブルの走りだったのね〜
最初からフリーイラストレーター1本でやっていけたの?
ていうか、最初は前の会社の先輩がデザイン会社を起業したから、そのお手伝いに毎日通ってた。日中はバイトして夜はイラストを描きためる、そういう生活が1年くらい続いたかな。
どうやってイラストの仕事を増やしていったの?ばりばり営業したわけ?
いや〜、知り合いとか紹介してもらったところに、作品を見せに行ったりしてはいたけど、そうしているうちに桑沢の同級生や前の会社・そこから独立した先輩方からお仕事をいただけるようになったんだよね。
要するに、身近な人からお仕事がきたわけね。
まあそうだけど、出版社とかにアポとって重いポートフォリオを抱えて、ちゃんと営業してたよ!
生活費を稼がせてくれたのは、身近な人からのお仕事だったけどね。朝方までひたすらイラストを描く毎日だったけど、充実感があって楽しかった〜!
イラストレーターから見たバブル期のお金事情
バブル期って、そんなにすごかったの?
今考えるとね〜。新人イラストレーターだった私でも仕事がバンバン増えていって、今までのクライアントをこなすだけで精一杯な状態。
地道にイラストの仕事をしてて1ヶ月以上海外一人旅ができたんだもんね。
約1ヶ月分の旅費+マンションの家賃+光熱費の基本料金+帰国後の生活費が用意できちゃったんだから、やっぱ、今考えると異常だったよね・・・まぼろし~って感じ。
ちなみに、その頃の仕事で記憶に残っているおいしい仕事ってどんなやつ?
まあ、金額が大きいと仕事も精神的にも大変だったけど、A全ポスターイラストが80万円とか、テレビ広告用の背景イラスト2枚で100万円とかかな。
新人でそれじゃ、世の中全部がイケイケだね!
街がイケイケドンドンな雰囲気で、人混みが得意じゃなかった私は、六本木なんか怖くって足を踏み入れられなかったよ。
バブル期だから、広告業界が一番華やかかりし頃。後で聞くと、この頃の広告やってたイラストレーターさんは1本軽く3桁いってたらしいよ!
このあとバブルがはじけて、広告費が減ってイラスト料金が下がっちゃったら、「やってられんわ〜」ってイラスト辞めちゃった人が多いみたい。
おいしい目をみちゃうと、しがみつかないんだね〜。
実際バブル期って、どのくらい続いたの?
まあ、仕事に困らない時期は5年くらい続いたかも。
そこから少しずつ景気が悪くなっていったんだけど、私はもともとそんなにおいしい目をみてないし、単純に絵を描いているのが楽しかったから辞めるっていう選択肢はなかったな~。
アナログ時代のイラストレータ生活
その頃は、まだパソコンとかない時代なんだよね?
ないない!ほら、携帯電話だってショルダーバッグみたいにしょって「しもしも〜」ってしてた時代だもん。
パソコンが何百万円もした時代だよ。デザイナーは必要に駆られて銀行でパソコンローンとか組んでたもの。広告業界はMacって決まってたわね〜。
イラストレーターもパソコンローン組んで、Mac買ったの?
いやいや、ほとんどのイラストレーターは、まだまだアナログな時代。デジタルアートといった専門分野の人達だけがパソコンとか使ってた感じだね。
全ての作業は、アナログだったよ。
紙に画材を使って描くってことだよね。どんな風に描いてたの?
私が使用した画材は、紙にペン・色鉛筆・アクリル絵の具・カラーインク・パステルなどかな。イラストカットは、だいたいPMパッドにペン入れしてコピックで着彩してた。
打ち合わせしてきてコピー用紙に鉛筆でラフを描いたら、FAXで送信してチェックしてもらう。
電話で修正がきたら、修正して再びFAXで送信。
OKがでたら、ラフをベースにライトボックスを使ってペン入れして、着彩。
描いたイラストにトレ-シングペーパーをかけて、提出しに行く・・・ふ~っ大変。
うわ〜っ、こんな手順をふんでイラスト1点出していたんだね〜!!
イラスト1点にかかる時間と手間は、今とは比較にならないくらいかかっていたわよね〜〜〜。デジタルのように、やり直しもきかないから1回勝負の気合いが必要だった。
でもその分、今みたいにイラストが完成してから修正、修正ってのはなかったよ。
画材って消耗品だし、意外にお金かかりそう・・・。
そうそう、色々手法を探究して新しい画材を買っていくと高いんだよね。基本みんな消耗品だし、ペンとかすぐインクが出なくなっちゃうし・・・。
でも、エアーブラシとか手をださなかった。機械っぽいのが入ってきちゃうと、ダメなんだよね〜。だから、エアーブラシ的要素がどうしても必要なときは、外注してたわ。
イラストレーターがイラストレーターに外注するの?
しようが無いよ、出来ないんだもん。出来ないことを無理に頑張っても、時間の無駄さ〜!
アナログだと得意不得意が出るから、イラストレーターも棲み分けが出来ていた感じかな。昔は技術力が必要だったけど、デジタルだと同じソフトでいろんな画材のディテールができちゃうから、今はその人の感性勝負ってことなのかもしれないね。
今でも私、illustratorで作らなきゃいけない複雑なデータだと、イメージをphotoshopでつくって外注しちゃうよ。
なるほど、時代は変わっても人の中身は変わらないってことだね〜。
じゃ、最後にアナログ時代の仕事を教えて!
デザイナーをやっていたおかげで、デザインプロダクションからのお仕事が多いかも。
多岐にわたるクライアント・幅広い業種のお仕事を手がけてたわね。
[パンフレット] 各地方自治体/国税庁/藤和不動産/トヨタ/FOOD/リクルート/
[リーフレット]CRTハウジング/東急リバブル/セゾン保険
[カレンダー] 各地方自治体/牛乳協会
[パッケージ] ユーハイム/ダイドー/小岩井/イトーヨーカドー
[舞台背景] 青山こどもの城ー毎年のお正月用ミュージカルスライド背景
主婦の友社/成美堂出版/長岡書店/ナツメ出版/フレーベル館/大和出版/主婦と生活社/集英社/ダイヤモンド出版/NHK出版/中央法規出版
※女性向けの食・健康・生活(結婚&妊娠&子育て)の本が多い感じです
ジェニーハウス/リカちゃん世界map/ゲームの世界観/カード版人生ゲーム/キャラクター等
※タカラの仕事は最初に就職した工画堂スタジオからのもの
デザイナーのときは女玩だけだったけど、フリーになってからは男玩やバラエティーにとんだお仕事をいただきました。
花博用ポスター/花博用map/水族館用魚の絵/植物園用の絵/スーパーマーケットの背景/小田原城の歴史切り絵/博物館用の説明イラスト
※博物館などの施設展示用のイラストは、ちょっと大がかりな作品でした。
縄文時代の生活のイラスト、川の中の生き物たち、水族館用の実物大の魚達、北海道の動物たちのイラストなどなど、画力を試されてばかりでした。
毎月発行の雑誌の挿絵、小冊子のイラスト一式、ポスター等々
※こちらとは未だに続く長いおつきあいです。
すごい、いろいろやってるね!
基本的にお仕事の依頼は断らないから!
今考えると、仕事しながらお勉強させていただいていたって感じです。
おかげでいろんな依頼にお応えできる自信ができたし、ありがたいです〜。
デザイン会社を辞めてフリーイラストレーターになったんだね